歴史的建造物が多数残るヨーロッパ。摩天楼から大草原の一軒家まで、広大な面積にさまざまな建造物が建つアメリカやカナダ。そして、古くから木や紙や土などで建物を作ってきた日本。世界地図で見ると、これらの地域は近しい緯度にありますが、気候や環境は全く異なります。
特に日本は、他の地域より夏の湿度が高く、地震が多いことで知られます。この2つは、建物にとって非常に「過酷」な条件です。なぜなら湿度が高いと建物にカビが生えて内部が腐る。地震が起きれば破損・倒壊の恐れがあり、共に建物の寿命を短くしてしまうからです。つまり日本では、日本の気候・環境に合った「地震と湿気に強い建物」こそが、本当に良い建物と言えます。ヨーロッパやアメリカ、カナダで高性能と言われる建物を日本に持ってきても、必ずしも日本の環境の中で優れた性能を発揮するとは言えないのです。
日本には1000年を経て現存する木造建築物があります。長きにわたり木の建物が倒壊しない理由は、構造体があらわなため湿気が逃げカビが生えない点と、地震の揺れを吸収する柔構造が挙げられます。スモリの家は、これらをヒントに「スモリ工法や軟骨構造」を開発し、地震と湿気に強い家を実現しました。
土蔵は厚い土と漆喰の壁に覆われ、窓も小さいことから室内の気温や湿度が一定に保たれます。いわば日本の高気密・高断熱の建物の先駆け。スモリの家では土蔵のような高気密・高断熱を実現しつつ、健康で快適、長持ちする住まいのために「換気」を重視した仕組みを採用しています。
日本の家では古くから「塗り壁」が使われていました。左官職人が土や砂、漆喰などで仕上げる塗り壁は、室内の湿気を吸収し、湿気が低いときは壁から放出するという「調湿作用」があります。スモリの家が標準採用している塗り壁(ぬりかべ)は、湿気が気になる日本の気候に合った内装材なのです。
2011年3月11日、宮城県で最大震度7という大地震が発生しました。今も、大小の地震が断続的に発生している状況にあるため、今後も地震に強い家づくりの大切な要素のひとつであるべきです。
スモリの家は頑丈で長持ちする家づくりを実践してきましたが、その耐震性能を上げる根本を担うのが「銀我(ぎんが)パネル」です。銀我パネルは厚さ20cmの木材繊維を7mmまで圧縮しているため、高い強度を誇ります。強度実験を行った結果、一般的な筋交い工法の約5倍(当社比)、一般的な住宅で使われる構造用合板の約4.4倍の強さがあることが分かりました。
大地震による家の倒壊は免れたものの、柱が歪んだり壁が落ちたりして、建替えやリフォーム、耐震補強を余儀なくされた方がいるかもしれません。いくら地震に耐えたとはいっても、後から経済的な打撃を受けるようでは「地震に強い家」とはいえません。
スモリの家では、真に地震に強い家であることを証明するため、実際の家を阪神・淡路大震災レベルの震度で揺らす「耐震実験」を行いました。結果、瓦1枚すら落ちず、全く損傷がありませんでした。また「地震後にできた家の変形値」も測定。耐震等級が最高ランクの住宅で11.5cmという結果と比べても、スモリの家はわずか4cmにとどまりました。スモリの家が地震に強く、地震の後も気密性を保ち快適に暮らせることが証明されたのです。
天井に小屋裏(こやうら)収納でもつけない限り、小屋裏に強度は必要ないのでは? と思われる方が多いかもしれません。実は家の強度を高めるために「小屋裏の強度」は非常に重要です。ティッシュの箱を思い浮かべてみてください。どれか一方の壁がなくなるだけでティッシュの箱は大きく歪み、すぐに変形してしまいます。つまり、六面の壁全体が強度を保っていることが大切なのです。
外力が加わり変形するのを防ぐため、一般的な住宅では2階の小屋裏の直角に交差する梁と梁の間に、斜めに木材を通す「火打ち梁(ひうちはり)」を加えます。一方、スモリの家は「銀我パネル」を採用し、小屋裏と家全体の強度を高めています。実験の結果、銀我パネルで作られたスモリの家の小屋裏は、火打ち梁の一般的な住宅に比べ「約17倍の強度」があることが分かりました。
家の寿命を大きく縮める原因は、柱や土台のカビや腐りやシロアリによるダメージです。これらは、結露が発生することで起きやすくなります。特に壁の中で起こる「壁内結露(へきないけつろ)」は、家の強度を大きく損ねる原因となります。結露を発生させないために、高気密・高断熱・計画換気のすべてが実現されていることが大切です。
スモリの家は、スモリ工法による高気密・高断熱と、室内と壁内のダブル換気で、結露が発生しにくい家。特に気密性に関しては、実際に建てた家で、床面積1㎡あたりの隙間(C値)を測っています(現在は有料)。その数値はおおむね1.0以下。宮城県ではC値が5.0以下の住宅を気密住宅としているので、スモリの家は一般的な気密住宅のわずか1/5以下の隙間といえます。
その地域で育った木で家を建てることには、さまざまなメリットがあります。その土地に育った木は、その土地の気候風土や環境に耐える力があるといわれています。また、若い成長期の木を継続して育てることでCO2を削減し、地球温暖化防止に貢献することもできます。さらに東北の山で林業を営む職人さんの技術の継承にも貢献できます。こうした理由からスモリの家は「東北で育った木を使い、東北の地に家を建てる」ことを実践しています。